爆音ソクーロフVol.1 ~亡霊たちの声

優れた映画作家が、"音"に対して極めて意識的であるのは、ことロシアに関して言えば、エイゼンシュタイン以来の創造的な伝統のひとつであると言って良いだろう。1928年にエイゼンシュタイン、プドキシン、アレクサンドロフの3名連署によるマニフェスト「トーキー映画の未来」で、「視覚的映像と聴覚的音声との"対位法的な利用"にこそ、トーキー映画の未来はある」とした彼らの考えは、ジャン=リュック・ゴダールの試みソニマージュ(SON(音響)+IMAGE(映像))を経て、21世紀の現代的な映画作りにおいては、映像と音響がお互いに従属せずに、それぞれの独立した構成要素として認識する考え方はそれなりに認知されながらも、映像と音声がシンクロするのが当たり前の現状は一般的にはより強化し、相変わらず少数によって大胆な"モンタージュ"が試みられているに過ぎないというのが現実だろう。そんな少数派でありながらも、現代ロシアにおいて、エイゼンシュタインの最も正当な後継者と目されているのがアレクサンドル・ソクーロフ。緻密な音響設計で知られるソクーロフの映画の霧の向こうから、一体どのような"音"のモンタージュが"爆音"で浮かび上がってくるのか、ぜひ体験しておきたい。
2009.12.7 update
2009年12月12日(土)~12月25日(金) 連日21:15スタート(予告なし/本編より)
爆音上映公式サイト http://www.bakuon-bb.net/
会場:吉祥寺バウスシアター Tel:0422-22-3555 http://www.baustheater.com
料金:1,300円均一/バウスシアター会員1,000円
   4回券 4,400円(バウスシアター窓口にて販売)
   ※当日券の販売及び整理番号の受付を19:30より行います
   ※各種曜日割引(月・水・金)はありません
企画:boid
フィルム提供:パンドラ

12月12日(土)
セカンド・サークル
12月13日(日)
セカンド・サークル
12月14日(月)
セカンド・サークル
12月15日(火)
ストーン/クリミアの亡霊
12月16日(水)
ストーン/クリミアの亡霊
12月17日(木)
ストーン/クリミアの亡霊
12月18日(金)
ストーン/クリミアの亡霊
 12月19日(土)
静かなる一頁
 12月20日(日)
静かなる一頁
 12月21日(月)
静かなる一頁
 12月22日(火)
ロシアン・エレジー
 12月23日(水)
ロシアン・エレジー
12月24日(木)
ロシアン・エレジー
12月25日(金)
ロシアン・エレジー
上映作品
『セカンド・サークル』
THE SECOND CIRCLE

ロシア/93分/35mm/1990年
脚本:ユーリー・アラボフ
撮影:アレクサンドル・ブーロフ
音楽:オリヴィエ・ヌッシオ
出演:ピョートル・アレクサンドロフ、ナデージタ・ロドノヴァ

主人公の青年は、亡くなった父を埋葬するために寒村を訪れる。対面しているうちに青年と亡骸は次第に一体化していく。その交流を示すのに、レーザー技術によるホログラムが用いられた。
『ストーン/クリミアの亡霊』
STONE

ロシア/88分/35mm/1992年
脚本:ユーリー・アラボフ
撮影:アレクサンドル・ブーロフ
出演:ピョートル・アレクサンドロフ、レオニード・モズゴヴォイ

ある青年がチェーホフの亡霊と出会い語り合う、たったふたりの出演者のみによる物語。誰もが驚く異様に歪んだ画面は、ペテルブルグの光学研究所よる特別製のレンズを使って行われた。
『静かなる一頁』
WHISPERING PAGES

ロシア・ドイツ/77分/35mm/1993年
脚本:アレクサンドル・ソクーロフ
ダイアローグ:ユーリー・アラボフ、アンドレイ・チェルヌィフ
撮影:アレクサンドル・ブーロフ
挿入曲:グスタフ・マーラー「亡き子をしのぶ歌」、オリヴィエ・ヌッシオ「音楽と絵画」
出演:アレクサンドル・チェレドニク、エリザヴェータ・コロリョーヴァ

画面の歪みや遠近感の喪失、そして幽かな音楽。ソクーロフ作品のひとつの形が見事に出揃った、三部作(『セカンド・サークル』『ストーン』)の完結編。ドストエフスキーの『罪と罰』をモチーフとする。
『ロシアン・エレジー』
ELEGY FROM RUSSIA

ロシア/68分/35mm/1993年
撮影:アレクサンドル・ブーロフ
編集:レーダ・セミョーノヴァ
録音:ウラジミール・ペルソフ
挿入曲:チャイコフスキー「子供のためのアルバム」より<フランスの古い歌>

冒頭数分間の、死にゆく人の息遣い。その空気の震えが映画全体を包む。19世紀末から20世紀初頭のボルガ川沿岸の人々の写真とともに語られる、誰からも省みられずただそこに生きていた人びとのドキュメンタリー。


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