
(上原輝樹) |
2015.1.19 update |
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『光あれ』(Let there be light) アメリカ/1946年/58分/デジタル/モノクロ/無字幕・作品解説配布 監督:ジョン・ヒューストン 『光あれ』は、おそらく第二次大戦前線での体験から戦争神経症に陥った兵士たちを扱った最初の映画であろう。ロング・アイランドの陸軍病院で75人の帰還兵が治療を受ける過程が描かれている。沖縄戦の戦闘を体験した兵士は、自分の名前も思い出せないほど重度の記憶喪失となり、カウンセラーは催眠療法を用いる。ポール・トーマス・アンダーソンも『ザ・マスター』を作るにあたりこの作品から着想を得ている。 「『光あれ』は何十年もの間、アメリカ合衆国で上映禁止になっていた。この作品には、名声や功績を得ることのなかったかつての兵士たち、ただの人間たちが映っている......この作品の中のすべてに魅惑される。モノクロの美しさ、フレームの厳格さ、精神分析、催眠療法、しかし何よりも僕の心をとらえるのは、進歩への大いなる希望である。少しでもよりよい世界を築くことができるかもしれないと、一緒になって思考している人々がここにいる。」(アルノー・デプレシャン) |
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『異郷生活者たち』(The Exiles) アメリカ/1961年/72分/デジタル/モノクロ/無字幕・作品解説配布 監督:ケント・マッケンジー 1950年代にアメリカ南西部の居留地を離れ、カリフォーニア州ロサンジェルス、バンカーヒルに定住した数人のネイティヴ・アメリカンの金曜の夕方から朝にかけての14時間を扱っている。映画学生としてアメリカに留学していたイギリス人マッケンジーは、いつか消滅してしまうだろうその場所、そこに住む若者たちに魅了され、長い時間をかけて彼らと友達となり、彼らの日常の生き生きした姿を撮影する。2008年にニューヨークで修復版が公開されあらためてアメリカのみならず世界中で高い評価を受け、ペドロ・コスタもポルトガルにて重要な作品として紹介している。 「マッケンジーの作品はネイティヴ・アメリカンの共同体について撮られたもっとも美しいフィルムである。故郷を喪失し、異文化の中に身を置き、あらゆる神話から遠くにある彼らについての心揺さぶるドキュメンタリーとなっている。作品半ばに素晴らしい女性の登場人物が出現する。ベニチオにこの作品を見てもらい、本作は彼の演技の道標となった。」(アルノー・デプレシャン) |
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『フローゾン・リバー』(Frozen River) アメリカ/2009年/97分/35ミリ/カラー/日本語字幕付 監督:コートニー・ハント 出演:メリッサ・レオ、ミスティ・アップム、チャーリー・マクダーモット、マイケル・オキーフ 新居購入のために貯めていた大金をギャンブル依存症の夫に持ち逃げされ、2人の子供を抱えて途方に暮れている白人女性レイ。愛する夫に先立たれ、義理の母に奪われた赤ん坊をいつの日か引き取ることを夢見ながら生きるモホーク族のライラ------ふとしたきっかけで知り合ったふたりは、それぞれの切羽つまった状況を切り抜けるために、はからずも不法行為に手を染めていく。それは真冬の氷点下の寒さで表面が凍ったセントローレンス川を車で渡り、カナダとの国境を越え、不法移民をアメリカへ密入国させるという仕事だった......。2009年 アカデミー賞 脚本賞 主演女優賞にWノミネート。『ジミーとジョルジュ』でジミーの婚約者役を演じているミスティ・アップムをデプレシャンは本作で発見している。彼女は2014 年10月5日、32年の若さでこの世を去った。 「ダルデンヌ兄弟の『イゴールの約束』を思わせる、完璧なる犯罪映画であり、アメリカ・インディアンの共同体についての心揺さぶる描写となっている。(...)ミスティはその後、この世を去ってしまった。僕は彼女を愛していた。彼女は例外的なアーティストであり、鋭敏きわまりない感性を持っている女性で、そう、インディアン版マリリンとも言える存在だった。」(アルノー・デプレシャン) |
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『そして僕は恋をする』(Comment je me suis disputé (ma vie sexuelle)) フランス/1996年/181分/35ミリ/カラー/日本語字幕付 監督:アルノー・デプレシャン 出演:マチュー・アマルリック、エマニュエル・ドゥヴォス、エマニュエル・サランジェ、マリアンヌ・ドニクール 29歳のパリ大学講師、ポール・デダリュスは3人の女性と付き合っている。10年来の恋人であるエステルは、ある意味愚かであるものの、その愚かさはどんな賢さをも上回る美点を備えている。ヴァレリーは少し狂気じみてはいるものの、同時に理性的な女性。そしてシルヴィアは聡明で手厳しいけれども、だからこそ寛大である。 「この作品の主題とはこういうことかもしれない。世界は存在しているのか? 僕はそれを証明できるのか? 世界について何らかの知覚を僕は持っているのか?(...)われわれの現実の生というのは衝動とか感情によって決定されるのではなく、単純に、演ずることを余技なくされているこの演技(ゲーム)の規則によって決定されているのだ」。(アルノー・デプレシャン) |
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『キングス&クイーン』(Rois et reine) フランス/2004年/150分/35ミリ/カラー/日本語字幕付 監督:アルノー・デプレシャン 出演:マチュー・アマルリック、エマニュエル・ドゥヴォス、カトリーヌ・ドヌーヴ、モーリス・ガレル 光り輝くような美しさを放つ「クイーン」こと、ノラ・コトレル。ようやく自分に相応しい男性と結婚しようとしていた彼女は、癌を宣告され、臨終を迎えようとする父の傍らで、過去の記憶や、亡霊たちに取り囲まれ、辛い時を過ごす。落ちぶれた「キング」、チェロ奏者のイズマエル・ヴュイヤールは、精神病院に強制的に収容されてしまうが、そこで様々な人たちと出会い、その「休暇」を楽しげに過ごすことになる。別々に展開していたこのふたつのストーリーはやがて映画の中盤で交錯する。実はノラとイズマエルはかつて恋人同士だった。マチュー・アマルリックは本作によって2004年度セザール賞で、主演男優賞を受賞。 |
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『クリスマス・ストーリー』(Un conte de Noël) フランス/2008年/150分/35ミリ/カラー/日本語字幕付 監督:アルノー・デプレシャン 出演:カトリーヌ・ドヌーヴ、ジャン=ポール・ロシオン、マチュー・アマルリック、アンヌ・コシニー、メルヴィル・プポー、エマニュエル・ドゥヴォス、キアラ・マストロヤーニ フランス北部の街、ルーベ。年を重ねてもなお仲むつまじいアベルとジュノンのヴュイヤール夫妻には、かつて4人の子供がいた。しかし長男のジョゼフは白血病を患い、家族の誰も適合しなかったことで骨髄移植ができずに、わずか7歳でこの世を去った。それから長い年月が経ち、それぞれに独立した3人の子供たち。長女エリザベートは生真面目な劇作家。一方の次男アンリは一家の問題児。そして心優しい末っ子のイヴァン。6年前、アンリと折り合いの悪かったエリザベートは、とうとう彼を家族から追放して絶縁状態となっていた。そんなある日、母ジュノンはジョゼフと同じ白血病を宣告されてしまう。そこで、ジュノンを 助けるため、すっかりバラバラだった家族は、クリスマスを前に久々の再会を果たすのだが...。 「それぞれの登場人物は、ミュージック・ホールのように、それぞれが自分に適したナンバーを弾いている。」(アルノー・デプレシャン) |
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