アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ2016



アピチャッポン・ウィーラセタクン監督の最新作『光りの墓』が3月に公開されようとしている。この21世紀的現代映画の傑作の公開に先駆けて、今まで日本劇場未公開だった『世紀の光』(06)の一般公開と同時に、特集上映<アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ2016>がシアター・イメージフォーラムにて開催される。
アピチャッポン監督の初長編作品『真昼の不思議な物体』(00)、カンヌ国際映画祭ある視点賞受賞『ブリスフリー・ユアーズ』(02)、同審査員賞受賞『トロピカル・マラディ』(04)、パルムドールに輝いた『ブンミおじさんの森』(10)の長編4作品に加えて、『ナブアの亡霊』など、2005年以降に世界各地の美術館等で発表されてきた中編・短編のなかから7作品を一つにまとめたアートプログラムも組まれており、アピチャッポン監督の全容に触れることのできる絶好の機会になる。
1月9日から2月5日の本特集上映を皮切りに、3月の『光りの墓』公開、アートの分野では、福岡、青森、横浜での展覧会やワークショップ、「さいたまトリエンナーレ2016」への参加、さらには、東京都写真美術館での個展も予定されており、2016年の日本はまさに<アピチャッポン・イヤー>の様相を呈している。政治、経済、社会、私たちを取り巻く既存の枠組みが大きく揺らぐ21世紀の今、アピチャッポン監督の作品は、私たちの進むべき道に対して大いなる示唆を与えてくれているように思う。"必見"というより、是非とも"体験"しておきたい特集上映の到来である。
(上原輝樹)
2016.1.8 update
2016年1月9日(土)〜2月5日(金)
会場:シアター・イメージフォーラム
当日券:一般1,500円/学生・シニア 1,200円/会員 1,100円
お得な3回券:3,600円
※『世紀の光』は一般1,800円
※3回券 3,600円は特集上映作品と『世紀の光』にご使用いただけます。
※3月公開『光の墓』ではご使用いただけません。
※上映期間中も販売(ただし数量限定販売につき、なくなり次第終了です。)
※3回券と新作『光の墓』前売券を同時にお求めの方に、『世紀の光』プレスをプレゼント(数量限定)。

公式サイト:http://moviola.jp/api2016/woods/index.html
上映スケジュール

1月9日(土)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
真昼の不思議な物体
(83分)

18:30
ブリスフリー
・ユアーズ

(125分)
1月10日(日)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
アートプログラム
(中・短編集)

(104分)
18:30
トロピカル・マラディ
(118分)
1月11日(月・祝)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
ブンミおじさんの森
(114分)

18:30
ブリスフリー
・ユアーズ

(125分)
1月12日(火)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
世紀の光
(105分)


18:30
世紀の光
(105分)

1月13日(水)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
世紀の光
(105分)


18:30
世紀の光
(105分)

1月14日(木)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
世紀の光
(105分)


18:30
世紀の光
(105分)

1月15日(金)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
世紀の光
(105分)


18:30
世紀の光
(105分)

1月16日(土)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
アートプログラム
(中・短編集)

(104分)
18:30
真昼の不思議な物体
(83分)
1月17日(日)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
トロピカル・マラディ
(118分)

18:30
ブリスフリー
・ユアーズ

(125分)
1月18日(月)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
ブンミおじさんの森
(114分)

18:30
トロピカル・マラディ
(118分)
1月19日(火)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
世紀の光
(105分)


18:30
世紀の光
(105分)

1月20日(水)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
世紀の光
(105分)


18:30
世紀の光
(105分)

1月21日(木)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
世紀の光
(105分)


18:30
世紀の光
(105分)

1月22日(金)
13:00
世紀の光
(105分)
16:00
世紀の光
(105分)


18:30
世紀の光
(105分)

1月23日(土)
13:00
トロピカル・マラディ
(118分)
16:00
世紀の光
(105分)
18:30
ブンミおじさんの森
(114分)
1月24日(日)
13:00
ブリスフリー
・ユアーズ

(125分)
16:00
世紀の光
(105分)
18:30
真昼の不思議な物体
(83分)
1月25日(月)
13:00
真昼の不思議な物体
(83分)
16:00
世紀の光
(105分)
18:30
ブンミおじさんの森
(114分)
1月26日(火)
13:00
世紀の光
(105分)

16:00
世紀の光
(105分)
18:30
世紀の光
(105分)

1月27日(水)
13:00
世紀の光
(105分)

16:00
世紀の光
(105分)
18:30
世紀の光
(105分)

1月28日(木)
13:00
世紀の光
(105分)

16:00
世紀の光
(105分)
18:30
世紀の光
(105分)

1月29日(金)
13:00
世紀の光
(105分)

16:00
世紀の光
(105分)
18:30
世紀の光
(105分)

1月30日(土)
13:00
真昼の不思議な物体
(83分)
16:00
世紀の光
(105分)
18:30
ブリスフリー
・ユアーズ

(125分)

1月31日(日)
13:00
ブンミおじさんの森
(114分)
16:00
世紀の光
(105分)
18:30
アートプログラム
(中・短編集)

(104分)
2月1日(月)
13:00
ブリスフリー
・ユアーズ

(125分)
16:00
世紀の光
(105分)
18:30
真昼の不思議な物体
(83分)

2月2日(火)
13:00
世紀の光
(105分)

16:00
世紀の光
(105分)
18:30
ブンミおじさんの森
(114分)

2月3日(水)
13:00
世紀の光
(105分)

16:00
世紀の光
(105分)
18:30
ブリスフリー
・ユアーズ

(125分)

2月4日(木)
13:00
世紀の光
(105分)

16:00
世紀の光
(105分)
18:30
トロピカル・マラディ
(118分)

2月5日(金)
13:00
世紀の光
(105分)

16:00
世紀の光
(105分)
18:30
世紀の光
(105分)


作品ラインナップ

©Kick the Machine Films
『真昼の不思議な物体』(Mysterious Object at Noon)
タイ/2000年/モノクロ/35mm/83分
山形国際ドキュメンタリー映画祭インターナショナル・コンペティション優秀賞&NETPAC特別賞受賞
全州国際映画祭グランプリ受賞

タイ北部の村で行商人の女性が、撮影クルーに促され、一つの架空の物語を語り始める。その続きを象使いの少年たち、伝統演劇の劇団員たちなど、様々な人々がリレー形式で即興的に語り継ぎ、物語は二転、三転しながら思わぬ方向に進んでいく......。驚くほどの自由なイマジネーションと同時に緻密に考えられた構成で、世界を仰天させた記念すべき長編初監督作品。
©Kick the Machine Films
『ブリスフリー・ユアーズ』(Blissfully Yours)
タイ/2002年/カラー/35mm/125分
カンヌ国際映画祭ある視点賞
東京フィルメックス映画祭最優秀作品賞
テサロニキ映画祭グランプリ
ブエノスアイレス国際インディペンデント映画祭監督賞&国際批評家連盟賞ほか

ミャンマーからやって来た不法労働者のミン、そのガールフレンドの若い女性ルン、ミンを何かと気づかう中年女性オーン。ミンとルンは森の中をさまよいながらひと時を一緒に過ごす、偶然同じ時に不倫相手と森に入ったオーンは姿を消した相手の男を探すうちにミンとルンと遭遇する...。ジャン・ルノワール監督の不朽の名作『ピクニック』にもたとえられた至福の映画。
©Kick the Machine Films
『トロピカル・マラディ』(Tropical Malady)
タイ、フランス、イタリア、ドイツ/2004年/カラー/35mm/118分
カンヌ国際映画祭審査員賞
東京フィルメックス映画祭最優秀作品賞
サンパウロ国際映画祭批評家賞
カイエ・ドゥ・シネマ2004年ベスト1ほか

愛し合う二人の青年の日常がみずみずしく描かれる前半から、一転、不穏な空気に包まれる後半。冒頭には日本の作家、中島敦の「山月記」の一節が引用され、アピチャッポン作品を貫く重要な要素の一つである"変容"が最も顕著に表現されている。観客に森の中に迷い込んだかのような感覚を与える撮影と音響は圧巻。カイエ誌ベスト1にも輝いた傑作。
©Kick the Machine Films
『ブンミおじさんの森』(Uncle Boonmee Who Can Recall Hiss Past Lives)
イギリス、タイ、ドイツ、フランス、スペイン/2010年/カラー/35mm/114分
カンヌ国際映画祭パルムドール
アジア・フィルム・アワード最優秀作品賞
カイエ・ドゥ・シネマ2010年ベスト1ほか

腎臓の病に冒され、死を間近にしたブンミは、妻の妹ジェンをタイ東北部の自分の農園に呼び寄せる。そこに19年前に亡くなった妻が現れ、数年前に行方不明になった息子も姿を変えて現れる。やがて、ブンミは愛するものたちとともに森に入っていく...。美しく斬新なイマジネーションで世界に驚きを与えた、カンヌ国際映画祭パルムドール(最高賞)受賞作。(シネマライズ提供)
ⓒ Apichatpong Weerasethakul.
Courtesy of SCAI THE BATHHOUSE.
アートプログラム〈中・短編集〉

『国家』(The Anthem)
2006年/5分
映画の前に国歌が流れるタイの映画館の慣習から着想

『Worldly Desires』
2005年/42分32秒
韓国チョンジュ映画祭の企画『三人三色』で制作

『エメラルド』(Emerald)
2007年/11分
閉館してしまったバンコクのエメラルド・ホテル、その場所の記録と記憶

『My Mother's Garden』
2007年/6分42秒
ある宝石コレクションに、母の庭のイメージを重ねて撮影

『ヴァンパイア』(Vampire)
2008年/19分
"旅"をテーマにした映像作品を依頼され、自ら出かけたタイとミャンマーの国境付近にはヴァンパイア鳥の伝承があり...

『ナブアの亡霊』(Phantoms of Nabua)
2009年/10分43秒
プリミティブ」プロジェクト(09)のスピンオフ企画

『木を丸ごと飲み込んだ男』(A Man Who Ate an Entire Tree)
2010年/9分
タイの野生林で伐採を始めた男は、やがて、自然のドラッグ作用で自分をコントロールできない状態に...
© 2006 Kick the Machine Films
『世紀の光』(SYNDROMES AND A CENTURY)
タイ、フランス、オーストリア/2006年/カラー/DCP/105分
ヴェネチア国際映画祭公式出品
ドーヴィル・アジア映画祭グランプリ
フリプール国際映画祭スペシャル・メンションほか

ファンの間で特に人気が高いにも関わらず、日本での上映が難しかった2006年作を待望のロードショー!映画は2つのパートに分かれ、前半は地方の緑豊かな病院、後半は近代的な白い病院が舞台。登場人物の多くも重なり、医師の恋の芽生えなどのエピソードは2つのパートで反復され、「えっ、これは夢?」と奇妙な感覚に誘われる。タイの天才が贈る"微笑み"と"驚き"の傑作。
アピチャッポン・ウィーラセタクン Apichatpong Weerasethakul
映画作家・美術作家。1970年、バンコク生まれ。 タイ東北部のコーンケンで育つ。 両親はともに医者で、少年時代は病院が遊び場だった。 幼少時からアートや映画に興味を持ち、映画館に通いだす。 地元のコーンケン大学で建築を学んだ後、24歳の時にシカゴ美術館附属シカゴ美術学校(School of the Art Institute of Chicago)に留学、映画の修士課程を終了。シカゴ留学時代に、アッバス・キアロスタミ、ホウ・シャオシェン、エドワード・ヤンらの映画に夢中になると同時に、ジョナス・メカス、マヤ・デレン、アンディ・ウォーホルらの実験的な映画と出会い、商業映画とは異なる映画のあり方を知り、個人的な映画をつくることを決意。1999年の山形国際ドキュメンタリー映画祭で短編映画『第三世界』が上映され、国際的な注目を集める。同年、映画制作会社"キック・ザ・マシーン"を設立。2000年に完成させた初長編『真昼の不思議な物体』以来、すべての映画が高く評価される。2015年には新作『光りの墓』がカンヌ国際映画祭ある視点部門で上映され、大きな称賛を得た。
美術作家としても世界的に活躍しており、日本においては、2008年1月 に、SCAI THE BATHHOUSE(東京)にて初の個展を開催。以来、東京都現代美術館での「東京アートミーティング トランスフォーメーション」展(2010)や「ヨコハマトリエンナーレ」(2011)など数々の展覧会を通して多くのファンを持つ。2016年は4/15〜4/17に福岡で参加型映像制作ワークショップ「T.A.P(天神アピチャッポンプロジェクト)」、7/23〜9/25青森県立美術館「青森EARTH2016(仮称)」展に参加(予定)、9/24〜12/11「さいたまトリエンナーレ2016」に参加、10/1〜12/14横浜美術館「BODY/PLAY/POLITICS」展に出品、さらに冬には東京都写真美術館にて個展が控える。映画『世紀の光』、新作『光りの墓』公開を併せ、大きな注目を集めることは間違いない。




アピチャッポン・イン・ザ・ウッズ2016について、皆様のご意見・ご感想をお待ちしております。
なお、ご投稿頂いたものを掲載するか否かの判断については、
OUTSIDE IN TOKYO 編集部の判断に一任頂きますので、ご了承ください。





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