OUTSIDE IN TOKYO
YOSHIGAI NAO INTERVIEW

吉開菜央『吉開菜央特集:Dancing Films』インタヴュー

4. 愛でる感覚

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OIT:愛でる感覚というか。
吉開菜央:そうです、そうです。愛でるっていうことですね、それに凄く近いと思います、そういうことが単純に好きだし、映画でもやりたいって、もう自然になっていったんだと思います。
OIT:もう見ていることで愛みたいなものが溢れ出てきちゃうと。
吉開菜央:そうですね。『ほったまるびより』は一人だけ事務所に入っているモデルさんがいましたけど、あとはみんなダンサーだから、いつもテレビで見てるような女優さんたちだと、毛とか、脱いでも痣とか傷も隠すけど、ダンサーだと結構みんなそういうのをばりばり人前に晒してるので、そういうのも見せたかったっていうのもありますね。
OIT:肌もどこの肌か分かんないくらい寄って撮ってますね。撮影はカメラマンの方が基本的にいらっしゃるんですか?
吉開菜央:そうですね、『ほったまるびより』ぐらいから人に撮影を頼むようになりましたけど、自分で撮りたいところだけは私が撮ってたりしてます。
OIT:例えば、肌に凄く寄ったりする時は、こういうショットが欲しいという話をして撮っているのか、あるいは即興的に撮ってるのでしょうか?
吉開菜央:狙ってる画はあっても、実際はカメラをのぞくまで分からないので、なんとなくこういう感じでってディレクションして、カメラを通して見ながら、より探っていくっていうやり方でやっています。
OIT:カメラマンが撮っているのをモニターで見たり。
吉開菜央:はい、でも他の監督さんもよくやるんだろうけど、撮りながらあっちの埃の光がいい感じとかなったらカメラ位置変えて、その場の奇跡的な状況に合わせて撮影することはガンガンやります。


OIT:脚本と言われるようなものはないけど、シノプスみたいなものはあって、映画制作のスタイルとしてはどんな感じなんでしょう?
吉開菜央:『ほったまるびより』からは割と通常の映画のやり方で撮っています。きちんと映画のことを知っているスタッフさんに入ってもらったので、助監督もいて香盤も組んで、脚本はないけど最初にプロットを書いた後に紙芝居を書いています。
OIT:絵コンテに近いものですか?
吉開菜央:そうですね、こういう感じのやつで(スマホで絵コンテを見せる)。
OIT:素晴らしい、凄い分かりますね、伝わる感じですね。
吉開菜央:もうちょっとこういう感覚にしたい、絵のこのショットとかこういうショットを繋げてこういう感じにしたいんです、みたいなものを繋げる為のものですね。
OIT:これ自体が作品ですね、劇場で小冊子で売れるのでは?
吉開菜央:そう、売りたかったんですけど、今回は間に合わなそう。(コロナ禍で上映延期の為、間に合いました。今回劇場で販売します。)


OIT:これは絵コンテ以上ですね。
吉開菜央:そうですね、130枚くらい書いてます。でもこれは絵コンテじゃないからこのカットを撮ればいいわけじゃないんです、この絵の中にいっぱいカットがあるんです、みたいな感じですね。最初に文字でプロット書いてスタッフさんに見せた時に、これ凄く面白いんだけど何をどう撮れば成立するのか分からないって言われて、じゃあ絵で見せようと。これをさらにシーンみたいな感じでちゃんと脚本化すると香盤が組めるからって言われて、これをまた文字化して香盤作って、ちゃんとスケジュール組んで撮ってました。
OIT:『静坐社』とか『みずのきれいな湖に』の場合もそこまでやってるんですか?
吉開菜央:『静坐社』と『みずのきれいな湖に』はやってないです。
OIT:『静坐社』は、これから廃墟と化してしまう家のドキュメントみたいな感じでしたからね。
吉開菜央:はい、なので私一人でカメラを持っていって、本当に思いつくままに撮って、編集で流れを作りました。
OIT:素晴らしい画でした。
吉開菜央:ありがとうございます。
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