OUTSIDE IN TOKYO
YOKO YAMANAKA INTERVIEW

山中瑶子『あみこ』インタヴュー

3. 日常生活の中からインスピレーションを受けて素材をストックしています

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OIT:映画は友達と見るというよりは一人でご覧になっていたという感じですか?
山中瑶子:一人で見ますね、長野市には二番館もあるしシネコンもあって結構充実していたので。でもたまに女子高生向けの映画とかも友達と見に行ったりしてましたよ、ちゃんとバランス良く(笑)。
OIT:いわゆる“キラキラ映画”ですね、そういう映画も楽しめましたか?
山中瑶子:それがですね、面白いことに、わたしだけでなく友達みんなで結構突っ込むんですよ、「なんだこれ(笑)」って。それが楽しくて行くみたいなところがあって。だから、違和感ありながら見ている女子高生もいっぱいいたと思います。
OIT:話を元に戻しまして、大学をやめて、その後どのように作り始めたのでしょう?最初に『あみこ』の脚本を書いたのですか?
山中瑶子:上京してからメモをたくさんとっていて、急にパッと思いついたフレーズのメモとか、生活している中で印象に残ったもの何でもなんですけど、音とかも録音したりして、そういうものが結構溜まっていました。脚本をト書きの状態で一から書くことが出来なかったので、最初、小説形式で書いてたんですね。そうすると気分が乗るので。それで行き詰まったりした時にメモとかを見返して、パズルみたいな感じで組み上げていくという作り方をしていました。
OIT:ということは最初に短編小説くらいのボリュームの物語が出来たという感じですか?
山中瑶子:そうですね、完結はしなかったですけど。完璧主義なところがあったから、そういう書き方をしてると目的を忘れて小説を完成させようとしちゃうんです。だから、映画を撮る前に小説として完成させないと、と自分が思い始めてしまう前に脚本のト書きに移行したので前半だけしっかりありますね。おかげで、後半の東京パートはクランクインまで脚本が書けず、即興が多いです。池袋の街で男と叫ぶところとか、電話ボックスのシーンとか。
OIT:山中さんの映画は、台詞の面白さ、感覚的なセンスの面白さが台詞に凄く出ていると思うのですが、その感じというのは脚本の段階で生まれているのでしょうか?
山中瑶子:喫茶店でも部屋でも、原稿と向き合っている状況で何かをひねり出しているわけではなくて、日頃生活しているなかで、パッと思いついたり、他の人の会話の中で気になった単語とかをメモしてるんですけど、そういうものからインスピレーションを受けています。
OIT:なるほど、現実の日常生活の中から素材をストックしているわけですね。脚本を書いて、次に何をしましたか?
山中瑶子:脚本を書くのは『あみこ』が2回目で、初めて書いたのは、大学のシナリオの授業の課題で書いたんですけど、それは完成しなかったです。その時のシナリオの先生の古厩智之監督が、その完成していないシナリオを褒めてくださったんですよ。その事を想い出して、今回は完成したし、また褒めてもらいに行こう!と思って。とはいえ、後半の東京パートはあやふやで前半だけしか完成しなかったんですけど、一応はこれで撮れるなと思ったので、古厩先生に見せに行ったら、本当にしっかり褒めてくれたんです。映画って、完成するまで時間が掛かるじゃないですか。ずっとモチベーションを保ち続けるのって難しいから、そうして信頼している人に褒めてもらうとかなり違いますね。それから、やっとキャスト探しです。自主映画専門のオーディションサイトとかがあるのは知ってたんですけど、もう学生ではないし、自分の立場を説明するのも面倒くさそうだと思ったし、初監督作品だからあんまり人は来ないんじゃないかと思ったので、自らツイッターとインスタグラムを駆使して探したんです。

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