OUTSIDE IN TOKYO
SHIBATA GO INTERVIEW

柴田剛『堀川中立売』インタヴュー

6. 個と集団、メディアと情報社会

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OIT:コアな部分では、今の世の中に対するちょっと何だかなぁと思ってる部分をいっぱい盛り込まれていると思うんですけど、それは脚本を書く段階でちょっと言っておきたいなみたいなのはあったんですか?
SG:なんですかね、個と集団というのは個は個で立っているものだし、集団は集団で束なって立っているものっていう風に、これはもう前から意識してるんですよね。個人になった時には個人の考えをもって、それを反映した生き方を世の中に見せるけれども、集団人格になった時に集団の中でしか動けないこともあるし、集団だということで個々はそれぞれ煩わしいことも起きるでしょうし、あとは集団にいくことによって外界の世界に対して効力を発揮することもあるっていう、だから映画の中で描く時は完全に個と集団って並列していこうっていうのがあったんです。集団ていうと大概まあ起こることはもう限られてくるんですよね、コミュニケーションにまつわることのみなんです。だから僕はこれは現象であって、今の現代社会に警笛を鳴らすっていうような切り口で集団を扱ってるわけじゃないんですよね。この映画で集団を扱っているのは個々のキャラクター達に監督としてガイドラインを出さない、なぜなら集団人格というキャラクターが個々として演じてもらっている役の目の前にいるんだからねっていう。僕は監督としてガイドラインを出さないけど、そういうところでのぶつかり合いで進めていきましょう、ちなみにキャラクターいっぱい出ちゃってるし、この短期間なんでよろしくお願いします!みたいな。なんの説明も打ち合わせもできなかったんで、それも活かして。

OIT:テレビがパロディ的に扱われています。テレビだけじゃないんですけど、マスメディアと言われるものが色々な事を作り上げていっているかのように見えるという現象があります。それも特にその部分が気に入らないとかじゃなくて構造として取り入れておいたっていうことですか?
SG:今、圧倒的に影響受けている、これはもう全てにいえると思うんですけどね、インターネット、グーグル。この当時僕はまだ、周りもそうですね、TWITTERがそんなにまだ使われてなかったんです。TWITTERが出てねえなぁってこの映画を観て思うんですけど。それにまつわる不具合な事故、発展に伴う嫌だけど起こってしまう事故っていう類いのものが、この映画を作る前にあったんです。秋葉原の事件ですとか、どうしても思うんですよね、ワーキングプアの話だとか。格差社会とか言われてるけど、そういうことも全部ひっくるめると有効な情報を持ってる人が勝るし、情報を持っているとその内自分の中でレベルを上げようとしてスキルを磨いていくし、そういうことやっていって個は立つけども反対側の見方をすると、それによって別に失わなくてもいいのに失わざるえなくなるっていう人がいて、そこに正しくバランスをとる機構がまだ開発されていなかったりする。一方で、それが今開発されてないけど研究データをあげている人間の行動を研究している人がいたりとか、キリがない。ひとまずどこにいる人もずっとそれに囲まれていると思うんですよ。唯一の手段はそれを一切受け付けないっていう。そういう主人公がニコイチの信介とツトムっていうのでいたんで、彼らが最初に出てきたから、思わずこの映画で彼らがその世界の状況を引っ張ってきちゃったのかもしれないんですよ。彼らが普通に日常に存在している人物像なのでおもしろいなっていうよりも、だいたい知ってるなっていう、目をそむけるわけにいかないというか、目にいつも飛び込んでしまう存在。ニートとか、ホームレスとか。だから彼らがそうしたテーマを引っ張ってきてるんじゃないですかね。

OIT:その中で安倍さん役の方(バミューダ★バカボンド、堀田直蔵)の存在感がすごく落ち着いていて大人じゃないですか。この映画の中で唯一まともな大人かもしれないと思ったんですけど。あの人は地元のあんちゃん風なんですけど、実は安倍晴明のキャラクター。
SG:あのキャラクターはもともと出来ていたのが、よくこう下北沢とか、吉祥寺のアーケード街とか、あとはゴールデン街にいると、それこそものすごい50代以上のずっとバンドやってる、いわゆる本当の不良がいるじゃないですか。そういう人と飲んでると「普段何してんですか?」って聞いたら「宇宙警備隊だ」って言ったんですよ(笑)。その通りだって思った、警備している、何か警備しているっていう。それはどの土地にもいるのだろうし、そういう人はきっとその土地以外のことは考えてないんですよね、きっと。ただ横にいた人には宇宙警備隊って言うんですよね。感覚がバーンと直結してる人だなぁと。僕にとって凄く信じることができる感じなんです。

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