OUTSIDE IN TOKYO
Peter Landesman INTERVIEW

ピーター・ランデズマン『ザ・シークレットマン』インタヴュー

2. 世界に一台しかないアンティークもので、
 クック製のアナモフィックレンズを使って撮影をした

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OIT:画家になろうとしていたというお話を伺って納得したのですが、『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』(13)を観た時に、あれは撮影監督がバリー・アクロイドでしたけれども、映像に独自のスタイルがあると思いました。最初から映画で自分なりのスタイルの映像を築きたいという意思があったのでしょうか?
ピーター・ランデズマン:そうした意図や、こういうスタイルでいくということはかなり意識をしていて、各作品ごとにアプローチを変えている。例えば『パークランド ケネディ暗殺、真実の4日間』は、あの通り歴史的な事件を描いているわけだけど、壮大な歴史的事件を至近距離で描きたいという意図があったので、ドキュメンタリータッチで描いている。人の肩越しに近くで見ているような感じを出したかったので、カット数も少なめに抑えていて、カメラが引いた映像もあまりなくて、撮影対象に寄って撮るというスタイルだった。一方、『コンカッション』(15)ではまた違うスタイルで撮っているし、今回の作品は、情報が密に入っていて政治色を帯びたものになるから、観る者に要求するものが多い。だからその分美しく撮ることを意識して、カラーパレットや各フレームの構造をどうするかといった事にかなり気を配ったんだ。

OIT:今回の作品の撮影監督はアダム・キンメルですが、マーク・フェルトという人物の“複雑なポートレート”を描こうとしたと思うのですが、それでこのアダム・キンメルと組むことになったんですか?
ピーター・ランデズマン:逆に質問していいかな?アダム・キンメルのことを知ってる?

OIT:フィリップ・シーモア・ホフマンがトルーマン・カポーティを演じた『カポーティ』(05)の陰影豊かな撮影が印象に残っています。
ピーター・ランデズマン:撮影監督というのはかなり変わった人が多いんだけど、アダムも実はかなり複雑な人物でね(笑)、とはいえ非常に才能豊かな撮影監督であることに違いない。当然ながら画家としての意識が働く人だから、まず今回の作品を撮るにあたっては、とにかく美しいショットを撮って欲しい、これがファーストプライオリティだという話をしたんだ。それで青みがかった色調にして、全てのカットをブルーのフィルターを通して撮影した。彼は、レンズや色調に拘りを持った男だから嬉々として取り組んでくれたよ。レンズもかなり拘っていて、世界に一台しかないアンティークものでクック製のアナモフィックレンズを使っている。僕がこういう作品を作りたいというニーズと彼の才能とテクニックが合致したということだね。

OIT:トット・ハイドやソール・ライターといった写真家の作品を参考にしたとのことですが、ルックブックのようなものは作ったのですか?
ピーター・ランデズマン:ルックブックは作っていないけれど、光の使い方と写真の構図の作り方にインスパイアされたね。



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