OUTSIDE IN TOKYO
LEE JOO HYUN INTERVIEW

イ・ジュヒョン『レッド・ファミリー』インタヴュー

2. 本当のユーモアは笑わせるための笑いではなくて、致し方ない状況からくる悲しい笑いだと思うんです

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OIT:今お話しを伺ってとても納得したんですけれども、長編一作目にしてユーモアが作品の中に上手く入っていますね、それは監督ご自身でも自分の特長の一つだと思われますか?
イ・ジュヒョン:もしユーモアが私の特長ですって言ったら、キム・ギドク監督もシナリオに参加してるので怒られてしまうかもしれないんですけど、確かにそういう部分はあると思います。私自身、綱渡りのようなものが好きなんです、どちらに行ったらいいのかっていうような状況でバランスをとることを楽しむところがあるんですね、映画というものは、偏っちゃいけないものだと思うんですね。誰かの肩を持つとか、誰かの味方をするっていうのはいけないと思います。今回の映画で言うならば、南北の間には目に見えない壁とか線というものがありますよね、両者を分断する線があったので、そのバランスをいかにとるかっていうのが今回の映画では大事だったと思います。ユーモアがユーモアになるっていうのは、本当のユーモアは笑わせるための笑いではなくって、例えば本当はこれがしたいんだけれども体制がこうだから出来ない、そういう致し方ない状況からくる悲しい笑いだと思うんですね。だからお腹を抱えて笑うのとはまた違った笑いだと思います。閉じられた世界にいる人間の笑いとでも言いましょうか、そんな風に笑いと哀しみが一緒に存在しているモチーフだったと思いますけれども、他のモチーフだったら今回のような笑いは実現出来なかったかもしれませんね。次回作もリアリティとファンタジーのバランスをどうしようかっていうところを今楽しんでいます。

OIT:次回作は今、脚本を作られているんですか?
イ・ジュヒョン:はい、そうなんです。実は脚本の初稿が二週間前に出来たばっかりなんですね。日本に来る日程が決まっていたので少し早めに書いておいたんですが、韓国に戻ったらまたそのシナリオの脚色作業に入る予定です。新しいプロダクションでそれを撮る予定になっているんですが、シナリオを一から書くっていうことに自分で挑戦してみたかったんですね。シナリオを自分で書くことによって、多分、自分の姿を鏡に映した時のように自分を試せるんじゃないかなと思ったので、今回はシナリオを自分で書きました。


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