OUTSIDE IN TOKYO
KOBAYASHI KEIICHI INTERVIEW

奔放に振る舞う主人公の女子高生、川島いづみ(池田愛)と二人の級友は、大金を拾ったことを契機に様々な出来事に巻き込まれながら、社会について、人々について学んで行く。『ももいろそらを』は、そんな青春映画の定型をなぞりつつも、紋切り型の言葉では説明し切れない、新鮮な魅力を放つ作品である。

まず、べらんめえ調で喋る主人公、川島いづみの人物造形とそれを演じる池田愛のぶっきら棒な存在感、そして、全編を通じて交わされる即物的で投げやりな印象すら与える彼女たちの会話がこの映画の個性を際立たせている。そして、3人の女子高生を駆動させる物語のモーターとなる”お金”とイケメン上級生光輝(高山翼)の絡ませ方に捻りが効いている上に無駄がなく、物語は意外にも、現在の多くの邦画が到達する地点より、より遠く、その射程距離を伸ばしてくる。

だからといって、このインタヴューで参照される黒澤明監督の『天国と地獄』や根岸吉太郎監督の『遠雷』といった日本映画史に残る傑作と『ももいろそらを』を同列に関連付けようなどとしているわけではない。ただ、この3作品はいずれも”空”についての映画であるということ。『天国と地獄』の”空”は、貧富の格差を縦の構図に収める、その背後に悠々とそびえながら、流れ出るピンクの煙に誘拐犯の手掛かりを語らせる説話的に機能する”空”であり、『遠雷』の”空”は、日本という国が以降歩んで行く”茨の道”を予告するかのように、フレームの外から雷鳴を轟かせる、象徴的かつ黙示録的な”空”である。本作の”空”は、『遠雷』の”空”が轟かせた不穏な雷鳴以降に、幾つも無数に立ち上がった”空”のひとつに過ぎないかもしれない。しかし、この”空”の下に生きる彼女ら/彼らの立ち居振る舞いには、人を無関心ではいさせない、”自由”の萌芽が宿っている。

1. 映画をやるんだったら青春映画をやりたいという気持ちがありました

1  |  2  |  3  |  4  |  5



OUTSIDE IN TOKYO(以降OIT):『ももいろそらを』、拝見しました。コメディのセンスがあって、ジェンダーのテーマが上手く組み込まれていて面白かったです。女子高生をテーマに描いたのは何故か、その辺りから聞かせて頂けますか?
小林啓一:映画をやるんだったら青春映画をやりたいって大前提があって、その理由は明快には説明出来ないんですけど、多分、若い頃に影響を受けたからだと思うんです。

OIT:若い頃に青春映画を観て影響を受けた。
小林啓一:多分ですけどね。やるんだったら青春映画をやりたいという気持ちはありました。題材としては、いわゆるステレオタイプとして描かれてる人達をちゃんと描かなきゃいけないんじゃないかなっていうのがあったんです。普段から映画を観てて、こんな人いないよなって思ったりしていたので、自分でちゃんとやってみたいなと思っていました。それで、女子高生を選んだっていうのがあります。

OIT:影響を受けたのは、どういう青春映画ですか?
小林啓一:『アウトサイダー』(83)とか、日本映画で『遠雷』(81)ってありましたよね?その辺です。

OIT:『遠雷』は素晴らしい映画ですね、コッポラはリアルタイムですか?
小林啓一:リアルタイムじゃないですね。昔からそんなに映画に詳しいわけではなかったので、そこに辿り着くまでに時間がかかりました。

『ももいろそらを』

1月12日(土)より新宿シネマカリテほかにてロードショー

監督・脚本:小林啓一
プロデューサー:原田博志
題字:土屋浄
製作担当:松嶋翔
マネージメント:宮崎紀彦
出演:池田愛、小篠恵奈、藤原令子、高山翼、西田麻衣、渡洋史、桃月庵白酒

© 2012 michaelgion All Rights Reserved.

2011年/日本語/113分/モノクロ/ステレオ/HDCAM(16:9)
配給:太秦

『ももいろそらを』
オフィシャルサイト
http://www.momoirosora.jp/ja/
1  |  2  |  3  |  4  |  5