OUTSIDE IN TOKYO
TALK SHOW

20世紀の映画遺産「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」(晶文社刊)を巡って、10人の巨匠たち(ピーター・ボクダノヴィッチ、マーティン・スコセッシ、ポール・シュレイダー、オリヴィエ・アサイヤス、黒沢清、リチャード・リンクレイター、アルノー・デプレシャン、デヴィッド・フィンチャー、ジェームズ・グレイ、ウェス・アンダーソン)から、そのインスピレーションの源であるヒッチコック作品についての豊かな洞察を引き出し、古典映画から現代映画まで、世代を越え、国境を超えて、映画作りの実践について議論を強く喚起する、映画批評がそのまま等しく映画製作であるような作品『ヒッチコック/トリュフォー』が東京国際映画祭で上映され、監督を務めたケント・ジョーンズ氏と、作品にも出演している黒沢清監督の対談が行われた。

この対談の中でも指摘されている通り、ヒッチコックとトリュフォーという、一見交わることのなさそうな名匠二人が「映画術 ヒッチコック/トリュフォー」という奇跡の書物の誕生を前に魂の邂逅を果たし、後世の映画作家たちに多大な影響を与えたことは、本編の中でも語られている通り、誰しも認めることだろう。ケント・ジョーンズ監督は、そんな20世紀の映画の國で作られた遺産を、21世紀の今再評価し、多くの事象が慌ただしい時の流れとヴァーチャル空間の中へ迷走、縮小、消失していく中、近年、富みに多く問われるようになった”映画とは何か”というを問いに対して、極めて真っ当なパースペクティブを差し出してくれている。ここに、その映画『ヒッチコック/トリュフォー』の公開を祝して、お二人の対談の採録を掲載する。


『ヒッチコック/トリュフォー』ケント・ジョーンズ×黒沢清トークショー

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坂本安美:それでは本日のゲストのお二人にご登壇して頂きましょう。『ヒッチコック/トリュフォー』の監督でニューヨーク映画祭のディレクターも務めるケント・ジョーンズ監督、そして最新作『ダゲレオタイプの女』が公開中で本作にもインタヴュー出演されている黒沢清監督です。どうぞ拍手でお迎えください。大変豪華なゲストをお迎えすることが出来ました、私はフランス大使館文化機関アンスティチュ・フランセ日本の映画主任をしております坂本安美と申します。ご縁がございましてこの作品に関わらせて頂きまして、本日このように司会のお役目を頂きました、どうぞ宜しくお願いいたします。 それでは初めに一言ずつゲストのお二人にお言葉を頂戴したいと思います、まずはケント・ジョーンズ監督、皆さまへのご挨拶も含めて一言お願いいたします。
ケント・ジョーンズ:今回が始めての来日なのですが、このように日本に来ることが出来て、とても嬉しいです。映画祭、そして本作を日本で配給する会社の皆さんにもお礼を申し上げたいと思います、そしてもちろん坂本安美さん、黒沢清監督にも。ここにこうして座っているということは、本当に栄誉なことです。
黒沢清:ケントさんとはだいぶ以前から色々な海外の映画祭などで親交はあったんですけれど、まさか彼の作る映画に少しではありますけれど出演することになるとは思っていませんでした。どんな作品になっているのか、全く知らないまま何となくインタヴューを受けただけなんですけれども、出来た作品は僕の想像を遥かに超えた、もの凄く豊かなものになっていたように思います。今日はそういうケントさんと舞台挨拶のこの場に同席出来たことを、大変光栄に思っております。本日は宜しくお願いします。

『ヒッチコック/トリュフォー』
原題:HITCHCOCK/TRUFFAUT

12月10日(土)より、新宿シネマカリテほか全国順次公開

監督/脚本:ケント・ジョーンズ
脚本:セルジュ・トゥビアナ
製作:チャールズ・S・コーエン、オリヴィエ・ミル
撮影(ロサンゼルス):ミハイ・マライメア・Jr.
撮影:ダニエル・コーワン、ニコラス・ベントゲン、リサ・リンツラー
撮影(パリ):エリック・ゴーティエ
撮影(東京):田巻源太
編集:レイチェル・ライヒマン
音楽:ジェレマイア・ボーンフィールド
出演:マーティン・スコセッシ、ウェス・アンダーソン、デビッド・フィンチャー、オリヴィエ・アサイヤス、ピーター・ボグダノヴィッチ、アルノー・デプレシャン、ジェームズ・グレイ、黒沢清、リチャード・リンクレイター、ポール・シュレイダー、ボブ・バラバン(ナレーター)

Photos by Philippe Halsman/Magnum Photos ©COHEN MEDIA GROUP/ARTLINE FILMS/ARTE FRANCE 2015 ALL RIGHTS RESERVED.

2015年/アメリカ、フランス/英語、仏語、日本語/80分/ビスタ/カラー/5.1ch
配給:ロングライド

『ヒッチコック/トリュフォー』
オフィシャルサイト
http://hitchcocktruffaut-movie.com
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