OUTSIDE IN TOKYO
JERZY SKOLIMOWSKI INTERVIEW

イエジー・スコリモフスキ『イレブン・ミニッツ』インタヴュー

4. 運命は、私たちを、必ずしや、とてもドラマティックな仕方で驚かせるはずだ

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OIT:他のインタヴュー記事などで読んでいて答えを知ってはいるのですが、念のため質問させてください。ゴダールの、犬が出て来る3D映画『さらば、愛の言葉よ』(14)はご覧になってないんですよね?
イエジー・スコリモフスキ:見てないよ。

OIT:映画をご覧になる機会は、あまりないのですか?
イエジー・スコリモフスキ:私は、映画はあまり見ないんだ。映画館に行くと退屈してしまうからね(笑)。だから、自分が退屈しないような映画を作ろうと思って映画を作っている。

OIT:まったく退屈する余地のない作品だったと思います。ところで、この作品には、iPhoneやWEBカメラ、監視カメラといった、現代の様々なテクノロジーで撮影された映像が出てきますけれども、シナリオを書く段階で必然的にそのようなことになったのでしょうか?
イエジー・スコリモフスキ:そうだ。つまり、現代の都市の雰囲気を出したいということがあった。でも実はもっと重要なことがあって、そうしたテクノロジーを使ったのは、プロローグの部分だけれども、実は、シナリオで書いたのは一番最後だったんだ。つまり、何人かの登場人物について、補足情報を伝えたいと思った。映画全体は11分の間に起こるんだけれども、その少し前、数分間に起きたことを何人かの人物については見せたいと思ったんだ。それを人物毎に区別するために、今、君が指摘したiPhoneなどのツールで使い分けたというわけだ。

OIT:なるほど。私はこの作品を二回見たのですが、確かに、二回目に見たとき、登場人物の人物像がより豊かに伝わって来たという感じがします。
イエジー・スコリモフスキ:やはり、これは二度見るに値する映画だと思うよ。二回見れば、はじめは気付かなかった色々なディテイルに気付くはずだ。

OIT:モニターの画面からは、「お前はもう何も改めることができない」というメッセージが発せられるシーンもあります。
イエジー・スコリモフスキ:それは、私たちは運命というものに対して、何もなす術がないということを表している。運命は、私たちを、必ずしや、とてもドラマティックな仕方で驚かせるはずだ。それは間違いない。


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