OUTSIDE IN TOKYO
JERZY SKOLIMOWSKI INTERVIEW

イエジー・スコリモフスキ『イレブン・ミニッツ』インタヴュー

3. 全体をとても精密に計算した上で、手に入る限り、
 最新の技術を全部使ってやろう、という気持ちで作った

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OIT:撮影は、1ヶ月位で行ったと聞いています。
イエジー・スコリモフスキ:もうちょっと長い、40日間で撮り終えたよ。

OIT:CGで処理しているシーンもありますね。
イエジー・スコリモフスキ:とくに、ラストのクライマックスのところだね、あそこは全部そうだ。

OIT:妻のアンナをスローモーションで捉えたシーンが大変美しかったのですが、これはデジタルシネマならではの質感がありますね。今回、デジタルシネマの表現を切り拓くという意図はあったのでしょうか?
イエジー・スコリモフスキ:全体をとても精密に計算した上で、手に入る限り、最新の技術を全部使ってやろう、という気持ちで作ったからね。

OIT:監督の絵画作品がホテルの部屋のシーンで使われていましたね。これは以前、監督が来日された時に頂戴した、ヨーロッパで展覧会を行われた時のカタログ(jerzy skolimowski paintings 2008-2005)なのですが、まだ日本では絵画作品の展覧会を行ったことがないというお話を伺って、私の知り合いのギャラリストに相談するに当たって、カタログを一部頂いていたのです。その時は結局、作品がとても大きいので、運送費や保険など、コスト面を考えると難しいのではないか、ということで話は進まなかったのです。それで今回、スクリーンの中で、新作かな?と思って拝見したのですが。鳥の白いシルエットの作品とか。
イエジー・スコリモフスキ:それは、新しい作品の内のひとつだね。

OIT:これを、今回、ちょっと入れてみようと思ったのは何故ですか?
イエジー・スコリモフスキ:ハハハ、それはまあ、人の作品より、自分の作品を使いたいものだろう!(笑)

OIT:確かに(笑)。その部屋に、丁度、白い鳩が飛び込んで来る。これも数ある不吉な予兆のひとつですね。この映画では、そうした予兆が悪い方向にどんどん現実化していきます。これはもう、悪夢的な映画としては、避け難い事態でしたか?
イエジー・スコリモフスキ:まあ、ぶっちゃけて言ってしまえば、犬を連れた女の子がいるだろう?彼女を助けたいと思ったのは、あの犬が私の飼い犬だからなんだ(笑)

OIT:(笑)その女の子を演じたのが、実際はミュージシャンであるからということは無関係ですか?
イエジー・スコリモフスキ:それは関係ないね、あくまでも、犬を助けたかったから、彼女を助けようとしたんだ(笑)。


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