OUTSIDE IN TOKYO
ELISE GIRARD INTERVIEW

エリーズ・ジラール『静かなふたり』インタヴュー

5. 早く日本でロケしたい!

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OIT:マヴィの“自分ひとりの部屋”の佇まいが素晴らしかったですね。ランプの光の感じとか。セットではありませんが、猫のジャックも良かった。マヴィが書いてるところを邪魔したり、あれは自然にやったんですか?
エリーズ・ジラール:ジャックは、赤ちゃん猫なんですけど、セット自体が、小さかったので他に居るところがなかったのです。マヴィが書いてる時、彼女だけがアクションを起こしていて、他のスタッフは撮っているから、その場がシーンと静まり返っている、ジャックは壁に張り付いて、それを不思議そうに、何か起こってるなっていう風に見ているような場面もあったのですが、そこはカットしました。とっても可愛かったのですが、動物のドキュメンタリーじゃないですからね(笑)。動物の方が存在感が大きくなってしまうことが動物相手だとままあるので、その場合はカットするしかありません。

OIT:ジョルジュがマヴィの見舞いに来ている場面で、猫のジャックがふたりの後ろを結構自由に動き回っているシーンがありましたが、あそこまではぎりぎりOKと。
エリーズ・ジラール:手前の二人に襲いかかってこなかったので(笑)、良しとしました。あのシーンで私が拘ったのは、ジョルジュとマヴィの間でとても濃密な会話がなされていて、観客のみなさんがあまりにも後ろの猫に気をとられないようにということでした。

OIT:ぎりぎりセーフでしたね。ところで、ロリータ・シャマがとても良かったですね、声も良くて。どういう風にキャスティングが決まったのですか?
エリーズ・ジラール:7年前に知り合ってから彼女とは友人関係が続いていて、今回はシナリオの段階から彼女を当て書きしました。私が求めていたマヴィにぴったりだったのは、もちろん声もそうなんですけど、やっぱり他のフランス女優とは違う、オリジナルな独特の存在感、ルックスを持っている人だったからです。

OIT:ロリータさんは、普段からこういう雰囲気の方なんですか?
エリーズ・ジラール:それが全く違うんです、マヴィとロリータは全然違います。

OIT:じゃあマヴィは、エリーズさんの完全なるクリエイションなわけですね。
エリーズ・ジラール:そうですね、映画を観ていたら19世紀風のちょっと古風な女性かなと騙されますよね。実際は普通の若者と同じような感じで、自由でとても開けた考え方の持ち主ですよ。マヴィは、本当に役柄として作り込んだものです。

OIT:この映画自体は、そのように完全に作り込まれた虚構の世界であるわけですが、しかし、エリーズさんご自分自身が濃厚に入りこんでいる、まさに作家の映画ですね。
エリーズ・ジラール:自分でシナリオを書くとどうしても自分が入ってしまいます。27歳の頃の私はまさに、マヴィのような感じだったんです。自分と周りの世界はズレているな、ということを27歳の頃の私は感じていましたから。私が27歳の頃に感じていた社会への違和感みたいを、マヴィが体現してくれているのかもしれないですね、もちろんフィクションの部分が凄く多いんですけど。

OIT:現在準備中の新作ですが、先ほど二つ取りかかってるというお話がありました、一つは日本の話だと伺っています。そちらについて、話せる範囲で教えて頂けますか?
エリーズ・ジラール:フランスの女性作家が、本が出た出版記念ということで6日間だけ日本に来る、そこで、出版社の男の人と彼女の間で起きる特別なラブストーリーという感じでしょうか。短いから特別ということも言えますし、同じ言葉を話さないということも、ちょっと特殊なことだと言えます。

OIT:『二十四時間の情事(ヒロシマ、モナムール)』(59)を想起させるようなお話ですね。そして、今回のマヴィが成長した後のお話のようでも。
エリーズ・ジラール:新作の彼女は、もう50歳になっています(笑)。自分よりも年長の女性を選ぶのはこれが初めてのことです。

OIT:日本で撮影をされるのですね。
エリーズ・ジラール:はい。

OIT:まさか広島ではないですよね?
エリーズ・ジラール:京都です。

OIT:凄く楽しみですね。
エリーズ・ジラール:早く日本でロケしたい!


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