OUTSIDE IN TOKYO
Denis Villeneuve INTERVIEW

ドゥニ・ヴィルヌーヴ『複製された男』オフィシャル・インタヴュー

2.(ジェイク・ギレンホールは)才能豊かな俳優だとは知っていたけれど、
 これだけ親密になれるとは思わなかった

1  |  2  |  3



Q:今作では指揮するのではなく、コラボレートしたかったとういことですか?
DV:正にそれこそが私の求めていたことなんだ。私は本作の俳優陣が大好きで、彼らと契約出来たことで安心したし、作品に深みも出たよ。これまでの映画では、もう少し独裁的なやり方をしていたんだ。全員に指示を出したりね。けれど撮影を重ねる中で、クリエイティビティをシェアして他のスタッフの強みを活かすことの重要さに気がついたんだ。だから私は撮影監督を慎重に選ぶ。現場で多大な自由と権限を与えるから、私が目指す方向を理解している人がいいんだ。エゴを持たずプロジェクトのためだけに尽くすことの出来る、いわば兄弟のような人物が必要なんだ。役者も同様だね。現場で撮影監督と密接に関わるように、今回は役者にもそれを求めた。創造性を共有出来て、判断を任せて大丈夫な人物。ジェイク自身のことをよく知っていたわけではなかったからリスクはあったけれど、彼の功績にはとても感嘆していたし、出演作にも印象的なものが多かった。『ブロークバック・マウンテン』(05)には深い感銘を受けたよ。才能豊かな俳優だとは知っていたけれど、これだけ親密になれるとは思わなかった。こんな関係を築くのが私の夢だったんだ。すごく嫌な奴だった可能性もあるし、そう考えるとラッキーだったね(笑)もしそうだったとしたら、違う撮り方になっていたかもね。でも彼は知性と創造性、豊かな想像力と役に対する的確な捉え方をもった俳優だった。監督として嬉しいのは、俳優がそれだけ上手いと、いちいち指示を出さなくても、彼の後についていけば間違いないことだ。幸せなことだよ。

Q:脚本を作るとき、どういったことに意識を傾けましたか?
DV:ジェイクの相手役を演じた女優、メラニー・ロランとサラ・ガドンにとってはチャレンジだったろうね。はじめは小さな役だったから、脚本作りの段階で脚本家のハビエルともっともっと肉付けしようと考えたんだ。だから彼女達には怖がらすに役を膨らませてみてくれと言ったよ。それほど多くの台詞やシーンは無いにしても、リアルな人間を演じられるように、彼女達には出来るだけ自由に演じてもらった。そして彼女達はそれぞれのやり方で見事にそれを成し遂げた。とても満足しているよ。


1  |  2  |  3