OUTSIDE IN TOKYO
Anais Demoustier INTERVIEW

アナイス・ドゥムースティエ『彼は秘密の女ともだち』インタヴュー

4. 役を演じる時に、普段の自分を生かしながら演じています

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Q:アナイスさんの考えではクレールはヴィルジニアの何に惹かれたのだと思いますか?
アナイス・ドゥムースティエ:まず、クレールは控えめで内にこもった性格でしたので、ヴィルジニアの凄く自由で、自分の欲望に素直に向き合ってやりたいことをやっている、そうした自分にはない大胆さに惹かれたのだと思います。ヴィルジニアとは次第に関係が深くなってラブストーリー的に発展するわけですが、最初はクレールとローラがいみじくもそうであったように、ただの友達だった、それが色々なものを共有して深い絆で結ばれてく内に男性的な部分も垣間見えてくる、そういうアンビバレントなところも魅力になって惹かれていったのかなと思っています。ヴィルジニアのビジュアル的なイメージというよりも内面的なスピリットに惹かれていったのだと思います。

Q:女性的に見えていること自体ではないということですか?
アナイス・ドゥムースティエ:内面的なことだと思います、見た目ではなくて。

Q:セクシャルなものでもないですか?
アナイス・ドゥムースティエ:もちろん性的に惹かれている部分もあると思うんですけど、それよりも自由な生き方、自由であるという側面に惹かれているのだと思います。子供時代のクレールとローラがそうであったように。ローラも自信を持って好きなことをどんどん自由にやっている人でした、そういった自分にはない、違っているところに惹かれていったのだと思います。

Q:キャリア的なお話になりますけれども、ダンスと歌、7歳の時から演劇コースに入って演劇をやっておられます、先程、歌がかなりお上手だったという話も出ましたが、歌の道にいかず映画の道に進まれたのはなぜか?お兄さまのステファンさんは映画監督でいらっしゃいますが、お兄さんの影響で映画の道に進まれたのか、お兄さまの影響でモーリス・ピアラの『ルル』(80)、クロード・シャブロルの『愛の地獄』(94)といった映画を観て、映画の道にいくことを決めたのでしょうか?
アナイス・ドゥムースティエ:日本では間違った情報が流れているのかもしれないのですが(笑)、自分が女優になろうと思ったきっかけは兄ではなく、13歳の時にハネケ監督の映画に出た、イザベル・ユペールと共演した、その経験が直接的なきっかけでした。確かに兄は凄く映画が好きで、こんなの観たらどう?ってどんどん薦めてくれましたので、彼のお陰で映画を観ることになったということはあります。『ルル』は、だいぶ後に知って、モーリス・ピアラ作品では一番好きな作品になりましたけれども、最初に観たモーリス・ピアラの作品は『愛の記念に』(83)です、サンドリーヌ・ボネールが出ている映画で、それは兄に薦められて見た映画でした。

Q:『彼は秘密の女ともだち』は本当の自分を解放することの大切さを描いていますけれども、普段様々な役を演じていらっしゃるアナイスさんが本当の自分を解放出来る場所だったり、何か行うことがあったら教えてください。
アナイス・ドゥムースティエ:女優という仕事は色々な表現をすることが出来ますし、様々な役を演じることによって多くのことを考えさせられる、そうしたこと自体が人生を大いに豊かにしてくれます。今回の役も、女性らしさとは何かということや、様々なことを自らに問いかけ、考えて、学ぶきっかけになりました。この役に巡り会えてとても良かったと思っています。普段から、自分は何かの役を演じる時に、役になりきるために普段の自分を捨てないで演じるようにしています。普段の自分の一面も活かしながら演じるようにしていますから、別に何かの役を演じ終わったから自分に戻るという感覚はありません。普段の自分のままであり続けている上で表現していますから、ON、OFFのスイッチみたいなのはありませんし、そもそも自分を捨てないで演じていますから、元に戻るという感覚もありません。ですから、私はいつも他の女優さんを見る時、何かの役を演じる時に、ただ作ってやっている人よりも普段の自分のありのままの姿を生かしながら、演技でも、音楽でも、さまざまな表現が出来ている人の方が素敵だと思っています。



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