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Press conference

トム・クルーズ『ミッション:インポッシブル ゴースト・プロトコル』記者会見全文掲載

3. 全人生を娯楽に尽くしたい。この情熱は年をとっても決して減っていかない(トム・クルーズ)

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Q:しゃべりたがってる監督に質問させて頂きたいと思います。オープニングなんか『Mr.インクレディブル』のような感じでとっても楽しめたんですけども、初めてアニメーションじゃなくて実写をやられて一番違いを感じられた部分、それとアニメのキャラクターのようにビルの外に行けと言えば実際行くMr.インクレディブルのトム・クルーズさんとご一緒にお仕事されての感想も伺いたいと思います。
ブラッド・バード監督:とにかく俳優を使えるということ、これが一番違うことなんですけど、アニメーションをやっていても実写をやっていても映画の言語としては同じだと思います。一番違うのは実写ではその場で即興が出来るということ、テイク3でふっと思いついたアイデアをテイク4で実際にやってみるっていうことが出来る、全部映像に収めていますから、色んなアイデアを収めておいて選べる、そういう即興性っていうのはアニメーションでは、それらしく見せることは出来るんですけど、実際はちょっとづつちょっとづつ一つの目的に向かって作っていくわけです。実写では色んなことを試せるっていうことで、今回素晴らしいキャストだったので、それぞれ色んなアイデアを生み出すし、また変更があってもどんどんどんどん文句一つ言わずにやってくれる、ですから脚本もどんどん変わっていったんですけど、結構フラストレーションがたまったところもあったと思うんですけど、不平を言わず、みんな遊びに来ていた、そういう感じです。


Q:ダウンタウンの『ガキの使いやあらへんで』の藤原と申します。よろしくお願い致します。映画、本当に楽しませて頂きました、ありがとうございます。自分は普段タレントのマネージメントの仕事をしております。うちのタレントはみんな痛いとか、きついとか、そう言って過酷なロケを嫌がるんです。どうしたらトム・クルーズさんのように厳しいロケを楽しく前向きに乗り切ることが出来るのでしょうか?ぜひアドバイス、秘訣とかそういうことを教えて頂けますでしょうか?よろしくお願いします。
トム・クルーズ:とにかく私は自分のやることは好きというこれが一番基本にあるわけです。つまり人々に娯楽を提供するという、それが好きであると、そしてチームでストーリーを語っていく、それに異常な情熱を燃やしていく、私はあるものに興味を持つと、非常にそれにのめり込める性格でございまして、どういう風にしていこうか、どういう風に解決しようか、自分に問いかけながら興味を追いつめていくという、こういう性格でございます。その一つとして会話のトレーニングがあるわけですけど、何をトレーニングするかっていうことは映画によって変わってきます。でもある時期になると本番というのがくるわけで、そこで全力を尽くすと、私は本当に全人生を娯楽に尽くしたい人間でございまして、そしてそれに携わっていることが非常にラッキーだと思います。この情熱っていうのは年をとっても決して減っていかない、下がらない。やっぱりものをクリエイトするっていうことにエネルギーが出てくるわけでございまして、瞬間、瞬間にそこからエネルギーが出てくると、何か新しいものを見て、あ、こうしようと、そういうインスピレーションが浮かぶ、特に監督なんかは新しいストーリの場面を作りますと、それを見てチームとして働くことで、そこから何かエネルギーをもらう。本当にこの36時間眠らないことがございました、つまり撮影隊が二班、三班に分れることがございまして、36時間ぶっ通しということもございましたけれども、それでもそれを乗り越えるエネルギーが出てくる。チームでお互いがインスピレーションを与え合うという、そういうチームワークがこの映画は出来ていたわけですね。そういう瞬間に立ち会えたことが本当に素晴らしい、みんながインスピレーションを与え合って一つのものをクリエイトするっていうことですね。そして例えば、監獄の場面で監督のチョイスで突然ディーン・マーティンの歌が聞こえてきますね、そこで私は本当にビックリしまして、ああいう素晴らしい演出をされると眠れなくなるくらい興奮するわけです。そしてどう動くかという、コリオグラフィを自分で考えたりする、そういうインスピレーションを貰える人達と仕事をするという、これがエネルギー源のひとつでございます。
ブラッド・バード監督:一言で言えば、ディーン・マーティンってことだね(笑)。
トム・クルーズ:彼はもはや古典の域に達しているよ。


Q:3人に聞きます。最近チャレンジしたことで、これ無理だよーっていうようなミッションは何でしょうか?
トム・クルーズ:僕はギブアップしないです(笑)。
ポーラ・パットン:不可能だなというような立場に実際立ちまして、それはちょうどこの撮影が始まる頃なんですけど、ちょうど生まれたばかりというか五ヵ月の息子がいたんですね、ですから映画と母親業をどうやったら両立できるだろうと、眠れない話が出ていましたが同じく眠れない日々を過ごしつつも何とか乗り越えてこのミッションを貫通することが出来たと思います。やはりこういう素晴らしい機会を得て、こういう映画に出られたが自分にとっては驚きだったんですけど、それをどう乗り越えようと考えて、乗り越えるしかないということで、ほとんど不可能に近いミッションをしっかり完結することが出来ました。
ブラッド・バード監督:私にとっての本当に不可能なミッションというのは、今回の作品のサイズですね。そしてサイズが凄く巨大な割にスケジュールはもの凄く短かったので、今回の『ミッション:インポッシブル』はシリーズの中で一番大きな作品なんですけど一番大きなバジェットを与えられたわけではなかったんです。ですからそういった意味では何か問題が起きるとすぐにその場で解決しないと、どんどんどんどんお金がなくなってしまうわけですから、他の作業が出来なくなってしまう。そういうことで毎日がチャレンジだったわけなんですけど、なんとか我々は作ることが出来ました。コツは不可能、インポッシブルだと思っても認めないっていうことかもしれないです。そういう時には視野狭窄になることも悪い事ではないですね。もうとにかくやり通すんだっていうことですね。
Q:トムさん、本当に何もないんですか?
トム・クルーズ:ないです。
ブラッド・バード監督:彼は、ギブアップするというアイディア自体をギブアップしているんですよ(笑)。
トム・クルーズ:そうだね、僕はギブアップしないんです。
Q:製作者としてのトム・クルーズさんにお伺いします。このMI4で一番目指したものとは何でしょうか?
トム・クルーズ:あらゆるスタッフに自分のベストを出せる環境を作ってあげる、これが私のプロデューサーとしての使命だと思っていました。そして本当にお客様が観て楽しめる、娯楽が得られる作品にしたい。ポップコーンを食べながら観ていても、画面に釘付けになって、食べることを忘れてしまう、そういう瞬間を生む映画であってほしい。遊園地の乗り物に乗って、あの始まったら止まんないというあのスリルを与えるような映画、そしてストーリーが本当に面白い、私はこういう風な映画に携われたことを非常に誇りに思っております。そして皆さんが、娯楽を楽しんでくれることが私の誇りでございますし、この映画は私の誇りに値する作品だと自負しております。だから「ミッション完了」は観客の方が言ってくれることを待っています。

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