OUTSIDE IN TOKYO
Timo Vuorensola INTERVIEW

『アイアン・スカイ』は、第二次世界大戦で敗れたナチスドイツが実は月の裏側(『トランスフォーマー/ダークサイド・ムーン』(11)でもネタになっていたところの、ダークサイド・オブ・ザ・ムーン)に移住して第四帝国を構築、地球侵略を企みアメリカを中心とした地球防衛軍とスターウォーズを繰り広げる、ナチスの大時代的アナクロニズムを笑い、アメリカのやりたい放題を笑い飛ばす壮大なSFブラック・コメディである。

本作が実現しているスターウォーズシーンの、そこそこの米アクション映画並みのスケール感を鑑みると、フィンランド(とドイツ&オーストラリア共同製作)で作られたインディペンデント映画であるということに驚かされる。製作予算7.5億円の内、1億円を企画に賛同した一般の映画ファンから集めたという作品の成り立ちも興味深い。日程が合わず、直接監督に取材するには至らなかったが、フィンランド映画祭、及び一般公開PRに来日したティモ・ブオレンソラ監督にメールインタヴューを行った。

1. 他の国々はそんなことお構いなしなのですが、フィンランドは国際政治を尊重します

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OUTSIDE IN TOKYO(以降OIT):この映画の成り立ちについて、一般の観客から資金を募ったということですが、その経緯について教えて下さい。
ティモ・ブオレンソラ(以降TV):2つの方法を使いました。ポスター、Tシャツ、デジタルコンテンツなどを売り、募金を求める方法と、通常の出資です。出資額は1,000ユーロから70,000ユーロまで様々でした。このシステムは法的理由からEU内でしか成り立たないものでした。出資者の人数は各国から99人以下と制限がつけられていました。最終的には1.2Mユーロ(約1.2億円)集めました。

OIT:作品自体、特定の国籍を感じさせないところが何とも言えない現代性を醸し出していましたが、今や、映画に国籍は必要なくなったのでしょうか?
TV:そうともいえませんが、米国外では国籍には囚われない国際的な作品が作りやすくなっていると思います。インターネットなどが発達した現代では、国境を越え、これまでに考えられなかったような数の人々に情報届けることが可能です。

OIT:とはいえ、地球を守るべく集まった各国首脳の中で、フィンランドだけが、軍拡競争に励んでいなかったことが発覚する件に爆笑しましたが、あのリマークは、現実のフィンランドという国の何かを象徴しているのでしょうか?
TV:はい、現代のフィンランドを政治的に象徴していると思います。フィンランドは国際政治を尊重します。他の国々はそんなことお構いなしなので、フィンランドがそこまでまじめに気を使うこともないと思うこともありますが。世界の政治の動きについて行けてない部分もあると感じます。もっと分かりやすくフィンランドの特徴を説明します。真冬のフィンランドはマイナス30度以下の極寒で、夜の深い時間になると通りに人影はなくなり、車もほとんど通りません。それでも、フィンランド人はきちんと信号が青になって歩道を渡ります。フィンランドはルールを尊重する国なのです。

『アイアン・スカイ』
原題:Iron Sky

9月28日(金)より、TOHOシネマズ六本木ヒルズほか全国ロードショー!!

監督:ティモ・ブオレンソラ
製作:テロ・カウコマー
音楽:ライ・バッハ
出演:ユリア・ディーツェ、ゲッツ・オットー、クリストファー・カービー、ウド・キア、ティロ・プリュックナー、ペータ・サージェント、ステファニー・ポール

2012年/フィンランド、ドイツ、オーストリア/93分/カラー
配給:プレシディオ

© 2012 Blind Spot Pictures,27 Film Productions , NewHolland Pictures.ALL RIGHTS RESERVED.

『アイアン・スカイ』
オフィシャルサイト
http://www.iron-sky.jp
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