OUTSIDE IN TOKYO
Mikhael Hers Interview

ミカエル・アース『アマンダと僕』インタヴュー

2. 好きなミュージシャンと仕事をしたり、好きな場所や好きな俳優とともに撮影をすること、
 それは喜びです!

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OIT:映画の序盤で、アマンダが「Elvis has left the building」というタイトルの本を見つけて、母のサンドリーヌにどういう意味なのかを聞くシーンがあります。エルヴィスはもう帰ってしまった、もうショーはおしまいだ、という会場のアナウンスが、“もうすべておしまいだ”という意味で使われるようになった英語の慣用表現があるという話から、その後二人でエルヴィスの「Don’t Be Cluel/冷たくしないで」を聴いて踊るという流れが素晴らしかったのですが、あの表現はどのようにしてあそこに入ってきたのでしょう?
ミカエル・アース:まず、この表現は存在しますけれども、あの本は存在しません。映画ではそれほど重要ではない些末な事柄が、いずれ重要な意味を帯びてくるようなことがあります。あの表現も偶然私が出会って、すごく色々な連想を掻き立てられたのです。あの場面ではサンドリーヌとアマンダが時間を共有して、その話をする、本当に平凡な普通の母と子の日常的なシーンですけれども、それが最終的には映画の最後に共鳴することになる。こういう風に映画というのは、本当に幾つもの偶然が重なって、予期せぬかたちで映画に豊かさをもたらすことになるものなのだと思います。

OIT:その最後のエンディングで、ジャーヴィス・コッカーの曲が流れるのですが、「Elvis has left the building」という曲名で作ってくれるように依頼したのでしょうか?
ミカエル・アース:私は元々PULPの大ファンなんです、それでジャーヴィス・コッカーにこのシナリオを読んでもらったら彼が気に入ってくれて曲を作ってくれることになった。もちろんこの表現を使ったタイトルにしてもらえたらいいなとは思っていましたが、それを直接的に言うことは出来ませんよね?彼自身もこの表現から様々なインスピレーションを得て最終的にこのタイトルになったのです。決め手は、シナリオを読んで好きになってくれたからだと思います。

OIT:彼とは実際に会ったのですか?
ミカエル・アース:はい。

OIT:レコーディングには立ち会ったのですか?
ミカエル・アース:レコーディングはロンドンでやったので、私はそこには行きませんでした。彼は半分パリ、半分ロンドンで生活しているので、パリにいる時に一緒に会って話をしました、音楽の話を沢山しましたよ。ジャーヴィス・コッカーは好きですか?

OIT:好きです、PULPも素晴らしいですが、現在のソロも良いですね。映画を作っていて、ジャーヴィス・コッカーに曲を作ってもらうというのは、特権的なことの一つだと思いませんか?
ミカエル・アース:それは喜びです!ある意味特権みたいなものではありますが、こうして自分の好きなミュージシャンと仕事をしたり、好きな場所や好きな俳優とともに撮影をすること、それは全く以て義務ではありません、あくまでも喜び、特権だと思っていますよ。



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