OUTSIDE IN TOKYO
ELISE GIRARD INTERVIEW

ギデンズ・コー『あの頃、君を追いかけた』インタヴュー

4. もし映画を撮らなければ、もっと自分の人生は楽しかったかもしれない、
 ただ、ちゃんと撮れた時の充実感がもの凄く大きい

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OIT:漫画がお好きということですが、カット割りを決める為に参考になった漫画、また実際にストーリーボードを書いたのかどうか教えて頂いていいですか?
ギデンズ・コー:(この作品に関しては)やはり漫画はカット割りに凄く大きな影響を与えていまして、絵は書かなかったんですけれども、脚本にどの方向から撮るかっていうカメラ位置の指示はちゃんと書いてました。カット割りは、日本の漫画の影響を凄く受けています。日本の漫画の概念、コマ割りの概念は、凄く素晴らしいものがあると思う。僕が思うには、漫画家っていうのは誰でも映画監督になれるんじゃないかって思うくらいです。僕はよく大学とかで脚本の授業をするんですけど、その授業で使う教材が日本の漫画なんです。例えば、ここは引きで、ここはアップで、何故ここにアップを持ってくるのかっていうようなこともちゃんと理由がある、そういうことを日本の漫画から学びました。

OIT:同時代の映画作家について、またその彼らが作っている映画について、他の人達が作ってる映画についてどう見てます?
ギデンズ・コー:台湾の若手の監督達は、僕よりもずっと真面目に映画を捉えていて、凄く厳粛な態度で臨んでいると思います、凄くいいことだと思います。今もある作品を編集しているところで、これは僕よりも3歳年下の監督の作品なんですが、彼の側にいて編集を一緒にやると、アクションはこういう風に、特撮はどういう風に使うかとか、凄く勉強になります。僕の場合は、やはり映画制作っていうことを、最初の基礎の段階から、段階を踏んでずっと学んでいくっていうようなことはもはや出来ません。ですから、そういう映画監督の側で勉強をしながらやっているっていうこともある。ただ彼らにしてもそれなりに欠点を持っているわけだから、そした欠点も受け入れつつ、どういう風に学んでいくかっていうことを自分で決めてやっています。彼らのような若い監督が真面目にやっているのを見ると凄く勉強になります。僕はやはり小説家ですから小説を書く方が自分にとってはより面白いことなんです。映画を撮るということももちろん真面目に取り組んで、いい作品を撮りたいと思っていますけれども、彼らは僕と違って映画監督一本です。ですから、(僕よりも)もっと真面目に真剣に取り組んでいるのでそういうところから学ぶことは凄く多いです。

OUT:映画への情熱はあるんですよね?
ギデンズ・コー:もし僕が映画を撮らなければ、もっと自分の人生は楽しかったかもしれないと思います。というのは、やはり映画を撮るっていうことは、もの凄く大きなプレッシャーに直面するっていうことなんですよね。いい作品が撮れなければみんなに笑われます、そして面倒なことになる、多くの人が作品には絡んでいるので。そうするとその面倒なことっていうのが大きなプレッシャーになっていくわけですが、ただ、ちゃんと撮れた時の充実感ですね、そういう充実感がもの凄く大きい。ですから映画を撮るっていうことは、ただ小説だけ書いているよりも、また別の人生を僕に味あわせてくれるものです。


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