OUTSIDE IN TOKYO
Carla Simón INTERVIEW

カルラ・シモン『悲しみに、こんにちは』インタヴュー

3. 子どもたちが物語を理解することよりも、
 子どもたち同士の関係性とその周囲の大人たちとの関係性が重要でした

1  |  2  |  3  |  4  |  5



OIT:子供が主人公ですから、撮影の現場も思うようにはなかなか行かないと思うのですが、この作品を見ていると、演技と演出が不可分に溶け込んでいて、自然な印象を受けました。撮影の現場はどのような感じだったのでしょうか?
カルラ・シモン:まず演出に関してですが、最初のステップはキャスティングでした。彼女たち自身でいてもらい、あまり遠い登場人物に近づかなければならない努力をさせないためにも、キャスティングが非常に重要でした。似てる人物を選ぶ必要があったのです。あとは女の子同士の関係性も重要でしたね。色々な組み合わせを試しましたが、フリダを演じたライア・アルティガスとアナを演じたパウラ・ロブレスに関しては、ふたりのおしゃべりの様子とかが、映画キャストの登場人物の会話とすごく関係性が似ていたので、彼女たちの自然なおしゃべりを映画の中で使うことができました。

すぐに気づいたのは、子どもたちが物語を理解することよりも、子どもたち同士の関係性とその周囲の大人たちとの関係性が重要だということです。ですから、一緒に買い物に行ったり、料理を一緒に作ったり、遊んだり、普通に日常的なことを長い時間を掛けて一緒に行いました。彼女たちには、劇中で撮影中に実際に起こる出来事の、撮影前に起きたであろうことを即興で演じてもらいました。私が演出をして、劇中で起きることの2〜3時間とか4時間前とかに起きたであろうことを、彼女たちに演じてもらったのです。

OIT:具体的にはどのようなシーンだったのですか?
カルラ・シモン:私の人生に実際に起きたと聞いていること、あるいは、覚えていることを演じてもらいました。例えば、母が病院にいる間に私が感じていたことは覚えていましたので、その場面を実際に映画の中で使っているわけではないのですが、演出をして、演じてもらったのです。私の実際の叔母でもある、背の低い女性ロラとフリダが、お母さんがいないから一緒に遊んだりした時のこと、エステバ(ダビ・ベルダゲル)とマルガ(ブルーナ・クシ)が知り会った時のこと、そして、お母さんが死んでしまったから引っ越すという話を聞いた時のことなどです。フィクションの部分もあるけれど真実の部分もある、そうした場面を実際に演じてもらいました。



←前ページ    1  |  2  |  3  |  4  |  5    次ページ→