OUTSIDE IN TOKYO
MIYAKE SHO INTERVIEW

青山真治『共喰い』インタヴュー

4. 自分の映画がもしかすると、ちょっともったりしてない?
 ひょっとして、っていうのがあったんですよ

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OIT:撮影の期間はどれくらいだったんですか?
青山真治:9月1日に現場入りして、3日間、虫とか鳥とか撮ってたんです。

OIT:先にそれを?
青山真治:先にそれ撮ってたんです、ていうのは、夏の空気がもう9月の頭で終わりかけてる、多分そうなるだろうから事前に3日間実景撮りを、実景というか獣撮りをやろうって言って、とにかく3日間がっつり炎天下でエビ撮ったり、魚撮ったり、それらをがんがん撮っていって、4日目にクランクインしたのかな。そこから15日間、九州で撮影して、戻ってきて3日間、スタジオワークだったんで、全部で二十数日ですね。

OIT:編集は監督がやられていますか?
青山真治:いや、編集は僕はノータッチです、もちろん意見は言いますけど、田巻(源太)君という全く新しいスタッフです。

OIT:今まではご自分でやることが多かったですか?
青山真治:僕はオペレーションしないんで、必ず誰かオペレーターがいて、それを動かすんですけど。フィルムの時代は自分でやってたんですけどね、もう今はずっと、Avidとか、そういうコンピューター内でやることになってからは、オペレーターに任せてます。

OIT:例えば、『EUREKA ユリイカ』(00)なんかを拝見していると、映画の運動というか、滑らかな編集のリズムと、凄い長回しがありますけれども、それが見事に繋がっている、そうした繋がりの連続というか、全編豊かな映画の時間が流れていると思うんですけど、(ご自分で)編集されていた時っていうのは、作業自体は楽しみであったりしたわけですか?それとも自分でやらなくていいなら人に任せたいっていう感じですか?
青山真治:まあ自分でやってることだけだとつまらなくなっていったことは確かですね。出来れば全く現場に居なかった人間の感覚が知りたいっていう、どう見えてるのか。自分が一人好き勝手すればいいっていうならそれでもいいんだけど、そういうわけにもいかないだろうっていう時、非常に大胆な発想みたいなものが出てくるのは大抵その現場に居なかった人、現場に居た人は必ずこのショットは一生懸命頑張ったショットだから残そうって言うんですけど、案外、いらないとかってカットしたり。今回は一個の長いシーンを真っ二つに切って、ちょっと前の方に入れて、それをもう一個回想的に別の所に入れてっていうようなこともしました。

OIT:それは終盤ですか?
青山真治:琴子が出て行くっていうことを遠馬に告げるとこですね、途中でばつんと切っちゃってます。

OIT:感覚的に、そのリズムだと。
青山真治:そうですね、ドラマの流れがこれで重たくなるなとかっていうことから発生したんだと思いますけど、ここで重たくなる必要ないなっていう。で、観てったんだけど、結局あれもう一言入れとかないとまずいなと思って、(琴子が)出ていった瞬間に回想で入れようって言って、随分乱暴なやり方しましたけど、正解だったと思いますけどね。今回は本当にドラマがどんどん、どんどん進行していくことを心がけて編集してもらったんで。なんかね、自分の映画がもしかすると、皆が大事にし過ぎて、ちょっともったりしてない?俺の映画ひょっとして、っていうのが結構あったんですよ、最近。(それで)やめようって言って、ばつばつ切るぞっていうので今回は入って、かなりのスピードになったと思う。

OIT:原作も1日目、2日目、3日目、4日目というテンポで来て、最後に一気になだれ込みますね、それとはまたちょっと違うリズムなんですけど、映画の方はもっと早いですよね、即物的と言ってもいいぐらいの早さ。確かにその感じは嘗ての作品とは違うかもしれませんね、それは『東京公園』ぐらいからですか?
青山真治:『サッド ヴァケイション』(07)からかな。『サッド ヴァケイション』の時に、あれフィルムで撮影したんですけど、編集はAvidだったんですね、パソコンだったんですけど、いやもう破壊するぞっていう、撮ったもの全部破壊するっていう勢いで、ばきばき切りまくって、撮ったフィルムを半分に切ったりとかして。ネガでこれやってたら駄目だけど、パソコン上で半分に切れるんだよね、半分に切っちゃえって言って。

OIT:やっぱりツールが変わってくると発想も変わると。
青山真治:そうですね、よく皆さんおやりになるのが分割画面とか、お手の物じゃないですか。

OIT:デ・パルマの新作(『パッション』)がそうらしいですね、まだちょっと見てないんですけど。
青山真治:ああ、そうですか、それは良さそうですねぇ。
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