2010年7月16日
『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』
70年代アメリカの伝説的な映画を上映するZIGGY FILMS 第2弾は、ハル・アシュビー、1971年の傑作『ハロルドとモード 少年は虹を渡る』。主人公のハロルド青年は、恵まれた環境に生まれ育ちながらも、生きることの意味を見いだせず、死の幻想に取り憑かれ、日々自殺の夢を見て周囲を困惑させる。そんなある日、自由を謳歌して生きる79歳の老婦人モードと出会い、生まれて初めて恋を知り、生きることの喜びや悲しみに触れ、人間らしい感情を経験していく。編集マンとしてキャリアをスタートさせたアシュビーらしい、見事な映画のリズムと名撮影監督ジョン・A・アロンゾの情感溢れる美しい映像美が今なお新鮮な、永遠の青春映画である本作には、幼少期に両親の離婚、父親の自殺を経験、自らも高校時代に結婚と離婚を経験、19歳でハリウッドのユニバーサルスタジオで働き始めたという苦労人ハル・アシュビーの人生のエッセンスが凝縮されている。